ADHDの子どもは一定時間、じっとしていることができません。授業中もつねに体のどこかを動かしていることがあります。机やいすをガタガタいわせたり、体を揺すったり、手足をごそごそ動かしていたりします。
なかには着席していることもできず、つい立ち上がってしまったり、立ち歩いてしまったりします。「体の多動」だけでなく、「口の多動」が目立つ子もいます。このような子は、おしゃべりがやめられません。静かにしていなければならない場面で、黙っていることができずに、ついしゃべってしまいます。
こうした特性は、日常の家庭や学校だけでなく、公共の場や、厳粛な式典の席などでも生じます。ADHDが理解されていないと、「行儀の悪い子だ」とか、「親のしつけはどうなっている」といった非難を受けやすくなります。
ADHDにみられる行動特性は、状況や場面を選ぶことなく現れるものです。
逆に、家庭では親の言いつけも守らず、マナーもできていないが、公共の場ではきちんとふるまえるという子どもの場合は、ADHDではないということになります。その場の状況をとらえてふさわしい行動がとれないという点が、ADHDの日常生活上の問題であると言えるでしょう。