自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害

11.パニックになりやすい
発達障害の子どもが起こすパニックとは、なんらかの理由で、自分の感情がコントロールしきれなくなり、大声をあげたり、物を投げつけたり、自分の腕をかんだり、頭を床や壁などにうちつけたりする行為のことです。 自閉症の子どもの場合は、感覚過敏のために、耐えられないほど不快な音があったり、人に触られたときに痛みを感じたりして、パニックに至ることがあります。 また、強いこだわりがあるために、熱中していることを妨げられたり、こだわっている方法を無理に変えさせられたりしたことで、パニックを起こしてしまうことがあります。 自閉症の子の特性をある程度わかっていれば、その子がどんな状況や場面で不快や不安、緊張を感じるかが予測できるため、パニックを起こすような事態にならないよう回避することができます。 ただし、子どもに対する理解が浅いと、パニックの原因となるような不快な状況、緊張を強いる事態を知らず知らずのうちに引き起こしてしまうことがあります。そして、実際にその子がパニックを起こすと、「理由もなく突然パニックを起こされた」と感じてしまうのです。 子どもがパニックを起こすときは、必ず、何か原因があるはずです。

10.迷子になりやすい
自閉症の子どもは、外出先で親とはぐれて迷子になってしまうことがよくあります。 たとえば、関心の向くものを見つけると、躊躇なくそちらに行ってしまいます。ワーキングメモリーの働きに弱さがあるため、親と一緒にいる自分がはぐれてしまったらどうなるかという状況把握ができず、こうした行動をとってしまうのだと考えられます。 また、ふつうの子と異なり、自閉症の子は親とはぐれても、泣いたり、不安がったりすることがない場合があります。気になる対象物を見つけると、それに熱中してしまい、自分のおかれた状況には関心が向かなくなります。また、親に対する愛着がふつうの子と比べてあまり強くない傾向もあるため、親の姿が見えなくなり、ひとりきりになってしまっても、平気でいられることがあるのです。 子どもに、泣いたり、親を捜したりする様子がみられないことから、周囲の人も、迷子になっていると気づかないケースもあります。

9.呼んでも振り向かない
名前を呼ばれたり、声を掛けられたりしても振り向かないというのも、自閉症の特性のひとつです。これも、音の聞こえ方がふつうとは異なっているために、呼ばれていることに気づかないことが原因で起こります。 自閉症の場合、多くの情報にさらされたときに、自分に必要な情報を選択して取り上げ、不要な情報を捨てることが苦手です。たくさんの音が聞こえている状態で、自分の名前が呼ばれたとしても、それだけに自分の注意を向けることがなかなかできないのです。

8.流水・回転するものが好き
常同行動の一種ともいえますが、自閉症のある子は、流れる水や、木漏れ日のようなチラチラした光、扇風機のように回転するものを好む傾向がみられます。 水道の蛇口から流れ出る水を手で受けながら、じっとその様子を見入ったり、木の葉の間から見え隠れする光をいつまでも見続けていたりします。視覚的に受ける刺激へのこだわりから生じる行動だと考えられます。 また、回転するものも好み、ミニカーのタイヤや、扇風機の羽根が回る様子を見続けていることもあります。

7.細部にこだわる
物事の全体を俯瞰的に見ることが苦手で、細部にこだわる傾向があるのも、自閉症の特徴のひとつです。 たとえば、おもちゃのミニカーを与えると、ふつうの子はそれを走らせて遊びますが、自閉症の子のなかには、ミニカーを片手に持ち、もう片方の手で、タイヤをくるくる回転させ、その様子を熱中して見入る子がいます。 ミニカーを「車のおもちゃ」ととらえて遊ぶのではなく、構造の一部分(タイヤ)のみに注目し、そのくるくる回るという動きを見ることにこだわるわけです。 このほか、掲示物が少し傾いて貼られている状態ががまんできずに、まっすぐに貼り直したり、机の位置が1cmでもずれていると気になって直したりといった行動をとることもあります。

6.常同行動(繰り返し行動)
自閉症の子どもは、視覚・聴貨・触覚・味覚などの働き方がふつうの人とは異なっています。さらに、その独特の感じ方によって得られる刺激が本人にとっては好ましいものであるために、同じ刺激を受け続けようと、一定の行為(動作)を繰り返し行うことがあります。 このような行動を常同行動(繰り返し行動)といいます。 また、特定の刺激を受けることを好む行動であるという意味から、自己刺激行動とも呼ばれていますなると考えられています。 これらの常同行動は、他人の目には奇妙な行動としか映らないため、なかなか理解してもらえませんが、子どもが特定の刺激を受け続けたがることには、相応の理由があります。 多くの場合、緊張や不安を強いられたり、やりたくないことをやらされようとしたり、ひどく不快な思いをさせられたりしたときに、その状況から逃れて気持ちを安定させようとして常同行動をとると言われています。 つまり、常同行動がみられたときは、子ども自身がストレスを感じているのだと察することができます。

5.指差ししない
幼い子どもが自分のほしいものを親に取ってほしいと思ったとき、「あれ取って」と言って、ほしいものの方向を指差しします。しかし、自閉症の子どもは、指差しをして要求することがあまりありません。 その代わりに、親の手首をつかんで、要求しているもののある所まで引っ張っていく行動がみられることがあります。こうした行為を、クレーンの「アーム」を操作する動きに似ていることから「クレーン現象」と呼んでいます。自分のほしいものを相手に伝えなければわかってもらえないということが理解できません。 自分がしてほしいと思ったことは、いちいち伝えなくても、自分以外の人にもわかってもらえているはずであるという思い込みがあるのです。 そのため、自分の要求を満たしてもらう行動を強く促そうと、相手の手首をつかんで連れて行くという行為に至るものと考えられています。

4.感覚過敏(あるいは鈍麻)
音や光、温度、触られたときの感じ方などが、ふつうとは異なり、独特の感覚をもっています。きらいな音が聞こえると耳をふさいで大声を上げることがありますが、これは、通常とは違った聞こえ方をしており、本人にとって、ひどく不快であるからだと考えられています。小雨が体に当たっただけで痛がったり、頭をなでられたり、肩に手を置かれただけでも、激痛が走ると感じたりします。その一方で、温度や傷の痛みには鈍感なことがあります。真夏の炎天下で、衣服を何枚も着込みながら「まだ寒い」と感じたり、打ち身や切り傷があるのに、痛みを感じないため、けがに気がつかないこともあります。これも、脳が独特の働き方をしていることで、通常とは異なる感覚が生じてしまうのだとみられています。

3.特定のものへの執着
時間割や道順、物の位置、動作や作業の手順、行う場所など、さまざまなものに対するこだわりがあります。生活スケジュールなどもパターン化されているほうが安定した気持ちで取り組むことができます。習慣化された方法を変更しなければならなくなったり、予定外の事態が生じたりすると、不安や緊張が高まり、場合によってはパニックになることもあります。

1.言葉が遅い
2〜3歳になってもことばを発さないなど、明らかなことばの遅れがみられます。ことばを話さないだけでなく、ほかの手段によるコミュニケーション(身ぶりや手ぶりを使うなど)も自発的に行おうとしません。障害の重さによりますが、重い自閉症の場合は、終生ことばを発さないケースもあります。ただし、高機能自閉症の場合は、通常より遅れるものの、しだいにことばを覚え、少しずつ話せるようになります。

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