1.忘れ物が多い
学校で必要な持ち物を忘れたり、宿題を忘れたりすることがよくあります。宿題の場合は、宿題をやったのに、持ってくるのを忘れてしまうということもあります。逆に、学校で配られた保護者宛ての手紙を親に渡し忘れてしまうケースもあります。
また、委員会や係の仕事があることを忘れてしまったり、友だちと遊ぶ約束を忘れて、待ち合わせ場所に行きそびれてしまうということもあります。
委員会や係の仕事を忘れてしまうと、友だちからは「さぼっている」とみられ、非難の的になりやすいといえます。友だちとの約束を忘れがちになると、遊びに誘ってもらえなくなったり、仲間はずれにされたりするようになることもあります。
2.集中できない
集中力を維持させることが難しいというのも、ADHDの行動特性のひとつです。
すぐに集中が途切れてしまうため、課題や宿題、作品づくりなどを最後までやりとげることが困難になります。
授業中の先生の話もしっかり最後まで聞いていることができないため、授業内容の理解も進まず、学業も振るわなくなる傾向があります。
3.注意力が散漫
自分の注意を向けるべき対象にしつかり向け続けることが苦手です。ほかの刺激が加わると、そちらにたやすく注意が向いてしまうことがしばしばあります。たとえば、廊下から聞こえる話し声が気になって、授業に参加できなくなったり、窓越しに、ほかのクラスの体育の様子が見えると、教室の先生の話が聞こえなくなったりします。
ふつうの子であれば、外の物音や景色に一瞬気が取られることはあっても、自制が働き、自分の注意を授業に戻すことができます。
しかし、ADHDの場合は、注意があちこちに散りやすく、なかなか授業に集中できません。
4.落ち着きがない
ADHDの子どもは一定時間、じっとしていることができません。授業中もつねに体のどこかを動かしていることがあります。机やいすをガタガタいわせたり、体を揺すったり、手足をごそごそ動かしていたりします。
なかには着席していることもできず、つい立ち上がってしまったり、立ち歩いてしまったりします。「体の多動」だけでなく、「口の多動」が目立つ子もいます。このような子は、おしゃべりがやめられません。静かにしていなければならない場面で、黙っていることができずに、ついしゃべってしまいます。
こうした特性は、日常の家庭や学校だけでなく、公共の場や、厳粛な式典の席などでも生じます。ADHDが理解されていないと、「行儀の悪い子だ」とか、「親のしつけはどうなっている」といった非難を受けやすくなります。
ADHDにみられる行動特性は、状況や場面を選ぶことなく現れるものです。
逆に、家庭では親の言いつけも守らず、マナーもできていないが、公共の場ではきちんとふるまえるという子どもの場合は、ADHDではないということになります。その場の状況をとらえてふさわしい行動がとれないという点が、ADHDの日常生活上の問題であると言えるでしょう。