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ADHDの特徴(後編)

5.考えてから行動できない

衝動性の強いADHDの場合、「行動する前に考える」ということが苦手です。思いついたことをすぐ行動に移してしまうのです。

たとえば、授業中、先生の質問に手を挙げて、指名されてから答えるという手順を踏むことができません。先生の出した質問の答えがわかると、手も挙げず、指されもしないのに、だしぬけに答えてしまいます。答える前に、一瞬立ち止まって考える、ということができないためです。

友だちなどから悪口を言われたり、いやなことをされたりしたときも、ひどいことばで言い返してしまったり、手をあげてしまったりすることがあります。その反応を面白がって、わざとADHDの子に、ちょっかいをかけたり、からかったりする子どももいます。そういう対象になりやすいということを、先生や親は注意して見てあげることが必要です。

 

6.順番を待つことが苦手

ADHDの子どものなかには、列に並んで順番を待っことを不得手とする子もいます。

注意が別のほうに向いてしまうと、みんなが並んで待っていることに気づかなかったり、最初は並んでいたとしても、途中で「並んで順番を待っている」ことを忘れてしまったりするためです。本人に悪気はないのですが、結果として列に割り込んだりすると、ほかの子どもから「ずるい」という非難を浴びるようになります。

また、友だちどうしで話をしているときに、自分が何か言いたいことを思いつくと、相手がしゃべっていても、割り込むようにして、話し始めてしまうことがあります。相手が言い終えるのを待ってから話せるとよいのですが、いったん話したいことを思いつくと、自制がききません。

こうしたことが度重なると、自分の言いたいことだけ話して、他人の話は聞かない自分勝手な人という誤解を受けるようになります。

 

7.かんしゃくを起こす

ADHDのなかには、かんしゃくを起こしやすい人がいます。自分の意見が通らなかったり、思い通りにならなかったりすると、大声を上げたり、泣きわめいたり、周りの人をたたいたりして、怒りをぶつけるのです。これは実行機能のひとつである自制心が不十分なためにみられる行動特性であるということができます。

かんしゃくは、時間が経てば、しだいに治まりますが、怒りがピークに達しているときは、攻撃的になったりしますので、本人を刺激しない、ほかの子どもを遠ざけるといった配慮が必要になります。