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自閉症の特徴③

8.流水・回転するものが好き

常同行動の一種ともいえますが、自閉症のある子は、流れる水や、木漏れ日のようなチラチラした光、扇風機のように回転するものを好む傾向がみられます。

水道の蛇口から流れ出る水を手で受けながら、じっとその様子を見入ったり、木の葉の間から見え隠れする光をいつまでも見続けていたりします。視覚的に受ける刺激へのこだわりから生じる行動だと考えられます。

また、回転するものも好み、ミニカーのタイヤや、扇風機の羽根が回る様子を見続けていることもあります。

 

9.呼んでも振り向かない

名前を呼ばれたり、声を掛けられたりしても振り向かないというのも、自閉症の特性のひとつです。これも、音の聞こえ方がふつうとは異なっているために、呼ばれていることに気づかないことが原因で起こります。

自閉症の場合、多くの情報にさらされたときに、自分に必要な情報を選択して取り上げ、不要な情報を捨てることが苦手です。たくさんの音が聞こえている状態で、自分の名前が呼ばれたとしても、それだけに自分の注意を向けることがなかなかできないのです。

 

10.迷子になりやすい

自閉症の子どもは、外出先で親とはぐれて迷子になってしまうことがよくあります。

たとえば、関心の向くものを見つけると、躊躇なくそちらに行ってしまいます。ワーキングメモリーの働きに弱さがあるため、親と一緒にいる自分がはぐれてしまったらどうなるかという状況把握ができず、こうした行動をとってしまうのだと考えられます。

また、ふつうの子と異なり、自閉症の子は親とはぐれても、泣いたり、不安がったりすることがない場合があります。気になる対象物を見つけると、それに熱中してしまい、自分のおかれた状況には関心が向かなくなります。また、親に対する愛着がふつうの子と比べてあまり強くない傾向もあるため、親の姿が見えなくなり、ひとりきりになってしまっても、平気でいられることがあるのです。

子どもに、泣いたり、親を捜したりする様子がみられないことから、周囲の人も、迷子になっていると気づかないケースもあります。

 

11.パニックになりやすい

発達障害の子どもが起こすパニックとは、なんらかの理由で、自分の感情がコントロールしきれなくなり、大声をあげたり、物を投げつけたり、自分の腕をかんだり、頭を床や壁などにうちつけたりする行為のことです。

自閉症の子どもの場合は、感覚過敏のために、耐えられないほど不快な音があったり、人に触られたときに痛みを感じたりして、パニックに至ることがあります。

また、強いこだわりがあるために、熱中していることを妨げられたり、こだわっている方法を無理に変えさせられたりしたことで、パニックを起こしてしまうことがあります。

自閉症の子の特性をある程度わかっていれば、その子がどんな状況や場面で不快や不安、緊張を感じるかが予測できるため、パニックを起こすような事態にならないよう回避することができます。

ただし、子どもに対する理解が浅いと、パニックの原因となるような不快な状況、緊張を強いる事態を知らず知らずのうちに引き起こしてしまうことがあります。そして、実際にその子がパニックを起こすと、「理由もなく突然パニックを起こされた」と感じてしまうのです。

子どもがパニックを起こすときは、必ず、何か原因があるはずです。

本人から直接話を聞いたり、子どもの様子をよく観察したりすることで、パニックの原因はしだいにしぼられてくるでしょう。

パニックをたびたび起こしていると、気持ちが不安定になり、さらに、パニックを起こしやすくなります。パニックをできるだけ起こさずに済ませる配慮が欠かせません。