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ASDの特徴(後編)

5.数や漢字の暗記が得意

アスペルガー症候群のなかには、文字、数字、記号などに強い関心をもち、2、3歳から、漢字が書けたり、大人が読む本が読めたり、数字の羅列を瞬時に正確に記憶できたりする子どもがいます。

カレンダーの日付と曜日との関係を瞬時にして理解している子どももいて、「0000年の0月0日は何曜日?」と尋ねると、数秒のうちに正確な曜日を答えます。

こうした子どもたちは非常に高い知能をもっています。

 

6.運動が苦手

ボール投げや、三輪車こぎや自転車こぎ、なわとびなど、手足を一緒に動かす運動(協調運動)が不得手な子もいます。

アスペルガー症候群の子は、視覚や聴覚、触覚によって得られた知覚情報を、脳内でうまく整理することができず、自分がどのような動きをしているのかをモニターできないのではないかと考えられています。

 

7.感覚過敏がある

特有の感覚過敏や感覚鈍麻があるのも、自閉症スペクトラムの特性のひとつです。感覚過敏はいろいろな知覚に現れますが、よく知られているのは、大きな音、甲高い音など、特定の音を苦手とする聴覚過敏です。このほか、触覚の過敏もよくみられ、気に入った肌ざわりの洋服しか着ない、ねんどやのりの感触が気持ち悪くて触れないといった不都合が生じることがあります。

 

8.時間の流れが理解できない

アスペルガー症候群の子どもは、時間の感覚にも特異性がみられ、過去と現在と未来がつながっており、時間の流れがあるのだということがうまく理解できないことがあります。これは、記憶にかかわる脳の辺縁系と呼ばれる部位の働きが通常とは異なっているために生じる感覚と考えられています。

たとえば、廊下ですれ違っただけの子をひどくにらみつけたので、「なぜ、そんなことをするのか」と聞くと、「1か月前にその子からにらまれたから」といった答えが返ってくるケースがあります。1か月前や1年前、もっと昔の記憶が鮮明に残っていて、ある瞬間に、いま目の前で起こっているかのように鮮明によみがえってくることがあるのです(「タイムスリップ現象」ともいう)。

なかには、ずっと前に遭遇した不快な出来事が急に思い出されて、パニックになってしまうこともあります。こうした現象は、周囲の人には非常に理解しにくい特性といえるでしょう。