こんにちは。発達障害支援アドバイザー協会代表理事の白石です。32年の福祉事業経験から、今日は発達障害のある方にとって本当に「わかりやすい」マニュアルの作り方についてお話しします。
「わかりやすい」の落とし穴
「わかりやすく書いたつもり」のマニュアルが、実は理解を妨げていることがあります。例えば、「ちょっと待って」「できるだけ早く」といった私たちが日常的に使う表現は、発達障害のある方にとって解釈が難しい場合があります。
効果的な表現方法の基本
私が運営する施設では、「3分待って」「15時までに」といった具体的な表現を使うことで、業務の効率が大きく改善しました。
重要なのは、指示を「視覚化」し「数値化」することです。これは発達障害のある方だけでなく、すべての従業員にとって有益な取り組みとなります。
マニュアル作成の具体的なポイント
視覚的な表現の活用
写真や図を使用する際は、ポイントを絞ることが重要です。例えば、物の置き場所を説明する場合、実際の配置場所の写真にシンプルな矢印を加えるだけで、理解が格段に深まります。
数値による明確化
「適量」ではなく「スプーン2杯」、「しっかり確認」ではなく「3回確認」というように、具体的な数値で示すことで、解釈の余地をなくします。
一連の流れの分解
作業全体を細かいステップに分解し、順序立てて示すことが効果的です。ただし、一度に示すステップは最小限に抑え、必要に応じて次の工程を提示する形が望ましいです。
実践での成功例
ある企業での経験をお話しします。この企業では、在庫管理の手順書を改訂する際に、以下のような工夫を施しました:
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作業手順を写真付きで示す
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各ステップに要する時間を明記
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チェックポイントを数値化
その結果、作業効率が向上しただけでなく、一般の社員からも「わかりやすくなった」という評価を得ることができました。
マニュアル作成時の注意点
良いマニュアルは一度で完成するものではありません。実際の使用場面で発生した課題を反映し、継続的に改善していく必要があります。
特に注意すべき点は以下の通りです:
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暗黙の了解を排除する
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例外的な状況への対応も明記する
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定期的な見直しと更新を行う
さらなる改善に向けて
マニュアルの作成は、単なる業務の効率化だけでなく、職場全体のコミュニケーション改善にもつながります。より詳しい作成方法や、現場での具体的な活用例については、私たちが提供している60分のオンラインセミナーで詳しくご説明しています。VRを使った体験を通じて、発達障害のある方の視点からの理解も深めていただけます。