こんにちは。発達障害支援アドバイザー協会代表理事の白石です。32年の福祉事業経験から、今日は発達障害のある社員との相談内容の記録と管理について、実践的な方法をお伝えします。
なぜ記録が重要なのか
発達障害のある方との相談において、記録管理は単なる事務作業ではありません。私の経験では、適切な記録があることで、その方の成長の軌跡が見え、より効果的なサポートが可能になります。
また、発達障害の特性上、本人が困りごとを正確に言語化できない場合もあります。過去の記録があれば、本人が気づいていない変化や成長のパターンを把握することができます。
効果的な記録管理の実践法
記録のポイントを絞る
私たちの施設では、以下の3点を重点的に記録します。
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具体的な状況や場面
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本人の言葉や行動
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対応方法とその結果
たとえば「落ち着かない様子だった」という抽象的な記録ではなく、「14時頃、3人からの同時の作業依頼があり、机の上の書類を何度も並び替えていた」といった具体的な記録が有効です。
時系列での変化を追う
私が特に重視しているのは、時系列での変化の記録です。ある企業では、社員の方が徐々に自分なりの業務の進め方を確立していく過程が記録から見えてきました。この記録があったからこそ、その方の成長に合わせた適切なサポートが可能になったのです。
共有のルール作り
記録は単に取るだけでなく、適切に共有されることで真価を発揮します。ただし、個人情報の取り扱いには十分な配慮が必要です。
私たちの実践では、以下のような対応が効果的でした。
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本人の同意を得た範囲での情報共有
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定期的なケース会議での活用
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成功事例としての共有(個人が特定されない形で)
記録から見えてくる可能性
適切な記録管理により、次のような効果が期待できます。
まず、本人の強みや課題がより明確になります。ある企業では、記録を分析することで、ある社員が朝一番の時間帯に最も集中力を発揮できることが分かり、業務スケジュールの調整につながりました。
また、支援する側の対応の質も向上します。記録を振り返ることで、どのような関わり方が効果的だったのかが見えてきます。
記録管理の実践的なヒント
デジタルツールの活用
記録の方法は、必ずしも複雑である必要はありません。シンプルな表計算ソフトでも十分です。重要なのは継続性と一貫性です。
定期的な振り返り
記録は取るだけでなく、定期的に振り返ることで価値が生まれます。月1回程度の振り返りの機会を設けることをお勧めします。
さらなる記録活用に向けて
これらの記録管理方法は、発達障害のある方のサポートにおける基礎となります。より詳しい実践方法や、現場での具体的な活用例については、私たちが提供している60分のオンラインセミナーで詳しくご説明しています。