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発達障害のある社員の強みを活かす業務設計:具体的な業務の切り出し方

こんにちは。発達障害支援アドバイザー協会代表理事の白石です。32年の福祉事業経験から、今日は発達障害のある方の強みを最大限に活かすための業務設計についてお話しします。

業務設計の重要性

私の施設での経験をお話ししましょう。発達障害のある事務員の方が加わったことで、前年比1100%の経常利益を達成したことがあります。この驚くべき成果は、その方の特性を理解し、適切な業務設計を行ったことで実現したものでした。

業務の切り出し方の基本原則

まずは観察から始める

新しく配属された方の特性を理解するために、私たちは最初の1ヶ月を観察期間としています。この期間に、どのような作業が得意で、どのような環境で力を発揮できるのかを丁寧に見極めます。

特性に応じた業務分類

例えば、ASDの方は一般的に以下のような業務で高いパフォーマンスを発揮することが多いです:

  • 数値管理が必要な業務

  • 決められた手順での作業

  • 正確性が求められる確認作業

一方、ADHDの方は:

  • 新規プロジェクトの立ち上げ

  • クリエイティブな発想が必要な業務

  • 人との関わりを活かした業務

で力を発揮することが多いです。

具体的な業務切り出しの手順

STEP1:既存業務の棚卸し

まず、部署内の全業務を書き出します。このとき重要なのは、業務を可能な限り細分化することです。「経理業務」という大きな括りではなく、「請求書の作成」「データ入力」「資料のファイリング」といった具合です。

STEP2:業務の特性分析

次に、それぞれの業務について:

  • 求められる正確性の度合い

  • 判断の必要性

  • 他者とのコミュニケーション頻度

  • 作業の反復性 などの観点から分析します。

STEP3:マッチング

本人の特性と業務の特性を照らし合わせ、最適な組み合わせを見つけていきます。このとき重要なのは、できないことを指摘するのではなく、得意分野を活かせる部分を見つけることです。

成功事例から学ぶ

ある企業では、在庫管理業務を担当していたASDの方の特性を活かし、棚卸し作業の新しいシステムを構築しました。その方の正確さへのこだわりと、決められた手順を確実に実行する特性により、在庫の正確性が大幅に向上したのです。

業務設計成功のポイント

1. 時間の明確化

作業時間を明確に区切ることで、より集中力を発揮できます。例えば「10時から11時までデータ入力」というように、時間枠を明確にします。

2. 指示の具体化

「できるだけ早く」ではなく「15時までに」というように、具体的な指示を心がけます。

3. 段階的な業務拡大

まずは得意分野で成功体験を積み、徐々に業務範囲を広げていくアプローチが効果的です。

より詳しい実践方法について

 

業務の切り出し方や、現場での具体的な活用例については、私たちが提供している60分のオンラインセミナーで詳しくご説明しています。VRを使った体験を通じて、発達障害のある方の視点からの理解も深めていただけます。